多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
サステナブル経営に取り組む中小企業
2026年10月26日
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「ジオ・ドクター」の技術を次世代へ繋ぐ/株式会社地盤調査事務所
次に紹介する日野市の株式会社地盤調査事務所は、建築物や社会インフラの安全・安心を支える「地盤調査のプロフェッショナル」だ。建築・土木事業に先立ち、地面に穴を掘って行うボーリング調査などを通じて、地盤の状態を調査・分析し、建物、橋梁、道路や斜面などを安全に支えるために必要な地盤情報を提供している。現在、従業員数は58名。関東・関西・東北に事務所を構えており、全国のゼネコンや建設コンサルティング会社、マンションデベロッパーなどから調査を請け負っている。
培ってきた経験をもとに、質の高い地盤情報を提供
同社では、調査時における資材や水の使用、掘削土砂や泥水の発生など、事業活動に伴い環境負荷があることを認識し、社内の環境負荷の低減を始めた。LED化やペーパーレス化など、身近なところから取り組み始め、本業である地盤の調査を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを意識するようになったという。
「地盤を正確に評価することは、過剰な基礎設計や地盤改良を避け、環境負荷の低減につながる」と代表取締役社長の今野満氏は話す。例えば、地盤の固さや土質試験の結果を基に、建築物を支える杭が必要かどうかを適切に判断できれば、不要な資材やエネルギーの削減をすることができる。
株式会社地盤調査事務所の今野社長
建築物を建てるためになくてはならない地盤調査だが、業界では高齢化や事業承継問題により人材不足が進んでいる。特に現場でボーリングマシンを操作するオペレーターの不足が深刻になっているという。1人前のオペレーターになるためには、少なくとも5年の実務経験が必要だ。そこで同社では、専門技術を若い世代へ継承すべく、自社で機械を保有しオペレーターの育成に力を入れている。
「現場なくして、地盤調査の仕事は成り立たない。人材を育て増やすことによって、業界が盛り上がっていくだろう」と今野氏。人材育成とともに働きやすい環境づくりも推進してきた。社内技術交流会の開催や、今野氏自らも積極的に従業員らとコミュニケーションを取ることで、風通しの良い組織風土を醸成している。業務効率化の推進やバックアップ体制の整備による、残業時間の管理をはじめ有給・育児休暇の取得拡充を推進している。さらに食事補助手当や物価高騰手当など、社会情勢に合わせた福利厚生にも力を入れ、ワークライフバランスの向上を目指している。人を育て技術を次世代へ継承することで、地盤調査業界の持続的な発展へと導いていく。