多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

海外市場を拓く多摩地域の中小企業

2026年4月27日

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現地への拠点設立で挑んだ海外進出/株式会社𠮷本製作所


株式会社𠮷本製作所の𠮷本社長

 青梅市の株式会社𠮷本製作所は、マシニングセンタや旋盤による金属加工を中心に、50年以上にわたり精密加工技術を強みに、多品種小ロットの部品加工を手掛けてきた。代表取締役社長の𠮷本誠よしもとまこと氏のもと、およそ30名の社員が在籍する日本本社のほか、ベトナムにも現地法人を構える。

 ベトナムでは、現地で中小企業サプライヤーのネットワークを構築し、同社が生産を管理運営する経営スタイルが特徴で、サプライヤーとなる委託先は約50社にのぼる。委託先候補は随時見直しや追加しながら、受注した案件ごとに最適なサプライヤーを選定して発注を行い、日本本社で品質管理やチェックを担うことで、コストとクオリティを両立させている。

 きっかけは2012年、さまざまな国を視察する中でベトナムとの縁が生まれたことにある。まずは駐在事務所を設置し、現地企業への委託生産を開始。事業が軌道に乗った段階で現地法人を設立し、本格的な体制を整えた。現在は、日本人スタッフ2名に現地採用人材を加えたおよそ20名ほどが、協力して運営を行う。

 ベトナムの加工技術については、「企業によってばらつきがあり、得意分野もさまざまなので、どの企業にどの仕事を回すのかの見極めが重要になってくる。各社の強みを把握して、その都度仕事を割り振るようにしている」と𠮷本社長。同社の加工技術や生産ノウハウを共有することで、サプライヤー側の技術向上にも寄与しており、「𠮷本製作所と仕事をすることで新しい加工方法が分かり、仕事の幅が広がった」といった声も聞かれている。このようにサプライヤー側もメリットが享受できる仕組みを構築することで、円満な関係となるよう尽力してきた。

5軸加工機などの最新機器を備え、幅広い加工実績を持つ

 海外で事業を進める上では、日本との制度や商習慣の違いに戸惑う場面も少なくない。ベトナムでは制度が頻繁に変わることもあり、手続きの解釈が担当者によって異なることも多い。こうした点に関しては、𠮷本社長自らが現地で判断するなど、中小企業の強みである意思決定の速さで対応している。

 さらに、ベトナム拠点の存在は日本本社にも良い影響を与えている。日本では高い技術力に磨きをかけ、ベトナムではその技術を活かしながら生産の幅を広げる。役割を分担しながら互いに刺激を与え合うことで、結果として会社全体の成長につながっている。

 「興味があるなら、まずは現地に行ってみること」。そう語る同社の取組みは、ベトナムに拠点を設立し、現地企業との協働を通じて生産ネットワークを築くという、海外進出の新たな形といえる。

広がる海外との関わり方


 今回紹介した3社に共通していたのは、自社の強みを活かしながら海外での可能性を探ろうとする姿勢であった。自社に合った形を模索し、さまざまな課題に向き合いながら、各企業は着実に歩みを進めてきた。この先海外市場は、より多くの企業にとって、次の成長を見据えた選択肢の一つとなってくるのではないだろうか。

有限会社あこ天然酵母
東京都八王子市中野上町2-25-16

株式会社アクシス
東京都立川市曙町2-4-3 TISビル7F

株式会社𠮷本製作所
東京都青梅市今井3-9-17

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