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特集 多摩のうごきを知る

高尾山観光の現在と未来

2021年7月30日

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高尾山観光の未来


八王子観光コンベンション協会 会長 大野彰氏

 現在、八王子観光コンベンション協会では、高尾山周辺地域で初めてとなる大規模なマーケティング調査の計画を進めている。東京観光財団とともに行う同調査は、鉄道の乗降客数や入山者数だけでなく観光客のニーズや動線を測り、さらに高尾山を訪れた観光客を八王子市街地へ誘致する仕組みづくりも視野に入れた幅広いマーケティング調査となる。同協会会長の大野彰おおのあきら氏は、「現在は事業者が大変厳しい状況にあります。日本遺産の認定をきっかけとして、地域の事業者のV字回復につなげていけるように、コミュニケーションをとりながらコロナ収束後に向けて準備を行いたい」としている。このマーケティング調査は、先が見えない状況の中でも高尾山観光事業の未来を考える各事業者にとって、重要な手がかりとなりそうだ。高尾山商店会会長の松村高雄まつむらたかお氏は、「高尾山は、新しいお客様が圧倒的に多い観光地です。調査結果の活用によってお客様のニーズを捉え、商店会として前向きな変化を遂げていきたいと思っています」と期待を寄せる。

高尾山商店会 会長 松村高雄氏

 高尾山がこれまで抱えてきた課題の一つに、繁閑差の平準化がある。高尾山を訪れる観光客は、例年5月の連休と10~11月の紅葉シーズンに集中している。閑散期である梅雨から夏、そして冬の時期にもその季節だけの魅力や楽しみ方があり、それらを各所でアピールする取組みが今後は必要になるだろう。また、ハイシーズンにおける対策として、時間帯をずらした早朝の登山推奨が挙げられる。これを実現するためには、飲食店や土産物店の営業時間の調整や、ケーブルカー・リフトの運行時間の拡大なども必要となる。「タカオネ」のオープンによっても、早朝登山のニーズはますます拡大することが予想され、地域における協力体制の強化が求められる。これまでも様々な事業において関係各所が連携を重ねてきた高尾山周辺地域だが、更なる発展のためには地域に関わる人や組織がますます協力し連携することが必要不可欠である。

 ただし、以前のように遠方からの観光客を呼び込むことができるようになるまでは、マイクロツーリズムとして近隣の観光客に向けた誘致に力を入れ、アフターコロナにおける観光地の基盤を整備したうえで段階的にインバウンドの回復につなげることが求められる。

 高尾登山電鉄の船江氏は「高尾山は当社の開業当時から心身の健康維持に役立つ場所として認識されていました。まずは、原点回帰して近隣地域の方に訪れてもらいたいです。山の清澄な空気でリフレッシュして、さらに観光施設を利用して一日お楽しみいただけると嬉しいです」と話す。同社に保管されている、ケーブルカー開通当時の新聞記事には、『まことに適当な市外公園とも言い得る地で清冷なる大気、闊達なる眺望はどんなにか都会生活者の慰安、保健の糧となる事であろう』(1927年2月28日付読売新聞記事より抜粋)とあった。高尾山にある豊かな自然と澄んだ空気は、時代や周囲の環境の変化に関わらずそこに存在し、訪れる人に安らぎを与え続けている。高尾山が観光地として今後も発展を続けていくには、近隣地域の人々が高尾山の魅力に改めて触れ、地域に愛着をもった経済活動を増やしていくことが必要だ。新型コロナウイルスの流行によって今も不安定な状況が続いているが、高尾山周辺地域の人々は、刻一刻と変わる情勢の変化に立ち向かい日々邁進している。高尾山観光事業の未来を明るいものにするために、地域一体となってこの危機を乗り越え、数年後には今まで以上の賑わいをみせる観光地となっていることを願って止まない。(畑山若菜/編集:野村智子)


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