多摩けいざい

お客さま景気動向インタビュー

株式会社寺子屋

代表取締役 間光男はざまみつお

2021年7月30日

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 小金井市の高級フレンチレストラン”TERAKOYA”を経営する株式会社寺子屋。現在、3代目のオーナーシェフ・間光男氏のもと、レストラン4店舗のほか、スイーツやオードブル、ギフトセットなどを販売する物販店3店舗を経営している。コロナ禍で甚大な影響を受けている飲食業界であるが、昨年打ち出した「三方良しプラン」が評判を呼んだ。

1954年の創業以来、趣向を凝らした料理と風雅な庭園で訪れる客を魅了し続けている

貴社の事業概要について教えてください。


代表取締役 間光男氏

 創業者である私の祖父が1954年に小金井の自宅を開放して飲食業を開業したのが当社の始まりです。私は1991年に3代目として店を引き継ぎました。当社では多摩地域に豊かな食文化を根付かせるということを社是としています。人生の節目である誕生日や記念日など大切な日に選ばれる、お客様の生活や人生に寄り添うレストランでありたいと思っています。 当社では、2つの事業の柱があります。一つ目の柱である飲食業では、小金井の本店のほか、立川にブラッスリーアミカル、そして吉祥寺にはブラッスリーエディブルという気軽にフレンチを楽しめるよう価格設定を抑えた店舗を展開しています。また、2020年8月には港区の商業施設”ウォーターズ竹芝”に新店舗SUD Restaurantをオープンしました。このお店は、海に面したロケーションで他の店舗とは違った雰囲気となっており、料理についても、より現代的かつ前衛的なものを提供しています。

 もう一方の柱は、物販店舗であり、3店舗を展開しています。レストランメイドをコンセプトにしたお菓子や本格的な味を家庭で楽しめる総菜を販売しています。コロナ禍による巣ごもり需要の影響から、物販事業の売上は増加しており、現在は全体の3割程度が物販の売上となっています。

貴社の特徴について教えてください。


 今までに3000以上のメニューを考案してきた私は、料理とは科学である、と考えています。いつも新たな料理を作る際には、機械、バイオテクノロジー、化学という3つのアプローチを使い分けています。これらのアプローチを使うことで料理に変化を持たせ、今までにないものを作り上げたいと思っています。

 今取り組んでいるのは菌類の研究です。温度や湿度、空気中の物質などをコントロールした環境で生育したそれらを他の物と合わせることで、面白いものが出来上がります。 例えばカビ一つとってみても、同じものをそれぞれ違う環境で育てることで、風味が変わります。また、アレルギーやヴィーガンの方でも皆さまが同じものを召し上がっていただけるよう、植物性のたんぱく質に植え付けたものの開発などにも取り組んでいます。

 機械については、協力企業と共同開発を行っています。協力企業の研究所に伺って、私の希望ややりたいことを伝え、一緒に作り上げました。例えば、エバポレーターという減圧しながら蒸留する機械があります。エバポレーターは、製薬や香水を製造する際などに使用されており、効率的に蒸発を行うことができます。この機械で本店の庭園に植えてある季節の木の葉や土などから香りだけを抽出し、料理の演出に使います。他にもLEDを内蔵した光るお皿を使うなど、お客様の五感を刺激するエッセンスを随所に盛り込むことで、料理を更に楽しんでいただくための仕掛けを常に考えています。

先端と伝統が織りなす豊潤な味わいの料理は季節ごとに変わり、その後同じメニューは登場しない

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