多摩けいざい
特集 多摩のうごきを知る
アイデアと技術力で多摩地域からエンターテインメントを生み出す
2025年4月25日
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驚きと感動、そして学びを生み出す恐竜ショーをプロデュース
/株式会社ON-ART
リアリティを追求した“歩く恐竜”によるオリジナルライブショー「DINO-A-LIVE」で注目を集める立川市の株式会社ON-ART。ショーに登場する恐竜は、高い造形技術で生み出された恐竜型メカニカルスーツだ。リアルな恐竜が観客の目の前に現れ、迫力ある動きと鳴き声で観客を圧倒するライブショーは、子どもから大人まで多くの人を魅了する。
同社はともに東京藝術大学出身の代表取締役・金丸賀也氏と取締役副社長・小塚明美氏が、博物館の展示やジオラマ、壁画の制作を手がける会社としてスタートした。やがて「動く恐竜を自分たちで作りたい」という強い思いが芽生え、そこから現在の主力事業であるDINO-A-LIVEの制作に本格的に乗り出した。
株式会社ON-ART 代表取締役 金丸賀也氏
同社の多種多様な恐竜は、現在総勢37頭。科学的な考証と作り手によるイマジネーションを掛け合わせた、リアルな造形と動きが最大の特徴だ。単に作るだけでなく、それを「どう見せるか」まで考え抜く発想力が同社の強みで、博物館の学芸員や専門家から学術的な監修を受け、最新の学説や発見を可能な限り反映させながら、質感や皮膚のシワ、筋肉の動きに至るまで徹底的にこだわっている。加えて、繰り返しの使用に耐えられるよう、軽量化と耐久性の両立を目指すなど日々アップデートを続けている。
DINO-A-LIVEは教育的な要素も大きく、当初から博物館と連携した活動や、博物館内でのショーに取り組んできた。子どもたちは、恐竜が生きていた時代の生態や地球環境などについて学ぶとともに「まるで生きているような恐竜に出会えた」という一生忘れられない体験を得る。金丸氏は「私自身が子どもの頃から、自然や植物の素晴らしさに魅了されてきた。ものづくりやDINO-A-LIVEを通して、子どもから大人までたくさんの方に生き物の存在の素晴らしさや尊さを共有していきたい。それが当社にとってのエンターテインメントです」と話す。
DINO-A-LIVEのショーの様子。台本や演出・BGMまですべてオリジナル
創業の地である東久留米市から立川市に拠点を移した2012年以降は、地元企業や地域コミュニティとより深いつながりを築いてきた。こうした背景もあり、コロナ禍でもその高い造形技術とものづくりへの情熱が評価され、地元企業から地域でのショーの開催を依頼されたほか、大手企業のスポンサーによるショーが決まるなど、大変な状況の中でも着実に会社を成長させてきた。
「一番の宣伝マンは恐竜たちです」と金丸氏。同社では自らの広報活動以上に、来場者によるSNS投稿が世間での認知度を大きく向上させてきたという。特に動画映えするライブパフォーマンスは拡散力が高く、テレビ番組やメディアにも次々に取り上げられ、国内だけでなく海外からの注目も集めるようになった。これまでに20ヶ国ほどから問い合わせが来ている。
現在は海外展開も視野に入れながら、新たな恐竜の開発にも着手している。企業理念である「共生」には、エンターテインメントで人と生き物が共生できる社会に貢献したいという思いが込められている。多摩地域から世界へ、恐竜を通して生き物の尊さや素晴らしさを伝え続けていく。
目の前を巨大な恐竜が動き回るという、貴重な体験ができる
暮らしを彩るエンターテインメント
今回紹介した2社は、いずれも斬新なアイデアとそれを実現する技術力で、教育的な要素や次世代への技術、文化の継承といった社会的な意義を持ち合わせた唯一無二のコンテンツを作り上げ、特別な体験を顧客に提供してきた。このように、この先もエンターテインメントの在り方はますます多様化し、人々を楽しませたり時には刺激を与えるものとして、私たちの暮らしに寄り添い続けてくれるだろう。
株式会社ロボットライド
東京都八王子市下恩方町1100-16
株式会社ON-ART
東京都立川市高松町1-100 立飛リアルエステート内13号棟