多摩けいざい

お客さま景気動向インタビュー

株式会社ウオールナット

代表取締役 齋藤さいとうゆたか

2025年4月25日

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立川市の株式会社ウオールナットは、トンネル壁面や道路の内部、上下水道管などの点検業務と、それらの技術開発や機器の製造を行う企業だ。1993年の創業以来、他社に先駆けて常に新たな技術を追求し、社会インフラの維持管理に貢献してきた。近年はAIの自動解析などを取り入れたことにより、業務効率の大幅な向上にもつながった。

独自技術で“見えないものを見る”を可能に


 当社はトンネルや道路など土木構造物の点検や調査を行っています。調査機器は全て自社で開発したものを使っており、電波や音波、レーザー波などの目に見えない波により、対象物を壊すことなく内部の状態を把握できるのが強みです。主に官公庁からの依頼で調査を行い、トンネルのひび割れや道路の路面下にある穴の位置や大きさを探し出します。優先的に対処すべき場所を特定することで、効率的にその後の工事を進めることができるようになります。

 トンネル調査や路面下調査には、当社のコア技術である地中レーダ技術を用いています。高い技術力や先端的な取組みを東京都や有識者から評価していただき、研究機関との共同研究や多摩地域の大学との産学連携などを通じて、さらに技術に磨きをかけてきました。自律走行かつ自動計測が可能な歩道探査ロボット「SideWalker-R」はこうした連携により開発されたものです。

代表取締役の齋藤氏

コア技術をさまざまな分野に応用、自治体とも連携


 柔軟なアイデアを基に、地中レーダ技術をロボットやドローンなどと組み合わせることで、現在ではトンネルや道路のほかにも農業用水関連や電力関係など多岐にわたる調査に対応できるようになりました。

 道路調査においては、さまざまな車両に取り付けることのできる「キャリア積載型地中レーダシステム」を活用した調査に力を入れています。2023年には立川市と連携協定を結び、市の道路パトロールカーに同システムを連結することで、道路パトロールと地中の空洞調査を効率的に行っています。解析については、取得したデータがリアルタイムで当社に送られ、自社開発のAIによる自動解析を活用して異常個所を市にフィードバックする仕組みを構築しました。

歩道探査ロボット「SideWalker-R」(左)とキャリア積載型地中レーダシステム(右)

多摩地域から最先端技術を生み出し続ける


 現在の社員数は51名。日本全国から点検や調査の依頼があるため、調査に携わる社員は全国を飛び回っています。受注は増加していますが、AIによる自動解析や、機械のロボット化、システムのDXを進めたことにより、調査に関わるコストや時間、人手の省力化が実現できています。また、AI・ロボット化を推進したことで、最先端の技術に興味のある若手の応募が増え、採用につながっています。

 道路やトンネルは、経過年数による老朽化のほか、気候変動や自然災害などさまざまな影響を受けており、当社の業務はますます需要が増しています。この先も高い技術力と変化し続ける社会的ニーズに応える柔軟な対応力で、インフラ維持管理に貢献していきたいです。


(インタビュー日時: 2025年3月3日)

会社概要

株式会社ウオールナット
代 表 者: 齋藤 豊
本社所在地: 東京都立川市幸町1-19-13
業   種: 非破壊検査業

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