多摩けいざい

多摩のうごきを知る

持続可能な地域づくりに向けた檜原村の挑戦

檜原 森のおもちゃ美術館

館長 大谷貴志おおたにたかし氏(NPO法人東京さとやま木香會 理事)

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村の課題としてはどのようなものがありますか?

 村が行っている移住や定住を促進する取組みの成果によって、移住希望者も増えていると聞いています。村にいくつかある村営住宅には、若い世代の入居が進んでいます。しかし、傾斜地が多い地形上新しい土地の確保が難しいことや、空き家はあるものの様々な理由からなかなか整備が進まないことなど、受け入れ体制にはまだまだ改善の余地があります。また、比較的利便性の良い地域や村営住宅がある地域の人口は増えても、中心地から距離がある集落の人口は減少する一方で、村の中でも地域差が広がっているのが現状です。現に、私が暮らす地域では小学校に通っているのは一人だけです。今後は、こういった課題にも向き合っていく必要があると思います。

檜原 森のおもちゃ美術館が今後目指す姿について教えてください。

 全国にいくつかあるおもちゃ美術館の中で、ここにしかない取組みとして“外遊び”があります。豊富な自然に囲まれた檜原村の環境を活かした多様な遊びを通して、訪れた方に楽しんでもらい、村の魅力を知ってもらいたいです。当美術館へはオープン前から団体の予約が相次いでおり、学校の遠足や、コロナ禍による修学旅行の代替地としてなど、日に日に問い合わせが増えています。また、檜原村と似たような課題を抱える山間部の自治体による視察の申し込みなどもあり、村の林業を再び活発化させることを主旨として作られた当美術館の取組みは、各所から注目を集めているようです。この建物は村が建てたもので、私たちが指定管理者として運営を任されています。年間4万人の集客を目標にしており、来館していただいた方々には、他にも村の色々な場所を訪れてもらい、当美術館だけではなく地域全体が潤ってほしいです。ここだけで完結してしまっては、トイ・ビレッジ構想の実現にはつながりません。木をきっかけとして経済を回して、地域が活性化していく、それが私たちの願いです。

村の観光名所の一つである払沢の滝。檜原村には魅力溢れる観光地が数多くある

(インタビュー: 2021年9月17日)

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