多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

危機に立ち向かう多摩地域の中小企業

経営者インタビューNo.04
ファミリーレンタリース株式会社

2020年7月27日

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 1979年にコインランドリー機器の販売会社として創業した同社。長年の丁寧な取引により大手企業や国立大学などを中心に取引を拡大し、今では日本全国に事業展開するまでに成長した。同社の鈴木社長に、コロナ禍での業況や今後の事業展開についてお話を伺った。

代表取締役 鈴木 國夫氏

貴社の概要について教えてください。

 コインランドリーは、大きくインドア型とアウトドア型の2つに分かれています。インドア型とは、企業や大学の寮、または宿泊施設などに設置するコインランドリーのことです。施設所有者は、ランドリーの設置スペースを提供することにより、無償で施設内に機器を設置できる一方、利用者が支払う料金は機器を貸し出す事業者が徴収するビジネスモデルとなっています。一方、アウトドア型とは、簡単に言えば、街中にある店舗型のコインランドリーのことを指します。店舗型のコインランドリーの場合、事業運営者が直接洗濯機を購入し、利用料金を集めることが多いです。ランドリー機器にも違いがあり、インドア型では洗濯容量が5キロ程度の家庭用サイズが多い一方、アウトドア型では洗濯容量が20キロ以上の大型サイズを取り扱います。

 当社では、インドア型コインランドリーのサービスを主に行っています。インドア型の事業を行っている事業者は全国で数社しかありませんが、その中でも当社は全国的に展開している国内唯一の企業です。アウトドア型向けの事業については、子会社の日本コインランドリー販売が店舗型コインランドリーに対して機器の販売を行っています。

 当社のインドア型ランドリーの設置場所は、企業の独身寮や大学の学生寮、ホテル、民泊などの簡易宿泊所、インターネットカフェなど多岐に渡ります。中でも、設置台数が圧倒的に多いのは、企業の独身寮です。ホテルなどにもコインランドリーを設置していますが、ホテルに設置できる台数には限りがありますので、台数はそれほど多くはありません。

 アウトドア事業を行っている当社子会社の日本コインランドリー販売は、コインランドリー経営者への機械の販売だけでなく店舗の設計や経営アドバイスまで行っています。アウトドア事業は、数年前まで業界全体で出店数の増加傾向が続いていました。これまでは市場全体の拡大により、新規や異業種から参入する企業も多数いました。しかし、近年はコインランドリー経営のブームに陰りが見え始めています。今後は、業界から撤退する企業も出てくるでしょう。

4~5月の業況はいかがでしょうか。

 新型コロナウイルスの影響により、ホテルや学生寮からの売上は減少しました。ただし、他の売上やリース収入が順調なため、インドア事業の売上は順調に推移しています。

 街中のコインランドリー店舗向けのアウトドア事業は、新型コロナウイルスによるマイナスの影響はありません。むしろ、一部のマスコミが「新型コロナウイルスを消失させるには、コインランドリーでの乾燥が有効だ」と報道したことにより、コインランドリーの利用者数は増加しました。そのため、コインランドリー経営をしているオーナーが追加で出店する動きも出始めています。

同社設置のコインランドリー

今後、どのように事業を展開していく予定でしょうか。

 今年7月、日本初のコインランドリー修理専門会社を当社子会社として設立します。狙いのひとつは、機械の入れ替え需要です。最新の機械では、洗濯から乾燥に移る際に取り出す作業がなく、一度で仕上がるほかに、携帯電話への作業終了の通知機能まで搭載されています。利用者にとっては、効率よく時間を使える機械へと進化しているのです。まずは、他社製品の修理を行いながら、機械の入れ替え需要も掘り起こしていきたいですね。

 ゆくゆくはアウトドア事業でも、機械を販売せずに機械を置くビジネスにしていこうと考えています。当社グループで直営のコインランドリーを出店して、利用者からの料金を売上として回収するビジネスです。機械の販売でも利益はありますが、コインランドリーの利用料を日々集金していた方が、「塵も積もれば山となる」で最終的に利益は出ます。ファミリーレンタリースが宿泊施設向けに行っていた「インドア」のビジネスモデルを「アウトドア」でもやっていきたいということです。

 このようにコロナ禍でも新たな投資を行えるのは、安定したインドア事業での収入があるからです。機械を販売するだけでは、どうしても経済環境の変化に左右されてしまいます。また、同業者が少ないので、他社を気にすることなく、先々の手が打てるのが大きいですね。

最後に、ポストコロナ時代に向けて、一言お願いします。

 どんな商売でも継続することは大変なことです。今後も色々なことを考えて、事業を行っていかなければなりません。

 その中で、当社が特に重要視していることは、社員とのコミュニケーションです。「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」は、必要以上に行っています。主任以上は、社長の私に直接報告するように伝えてもいます。また、社員とは年2回の個人面談を実施して、今期の反省、来期の目標、会社への要望の3点を聞くようにしています。

 コロナ禍で、当社も在宅勤務や自宅待機などを実施して、事務所への出勤者を減らしました。この状況下でも、社員とより密にコミュニケーションが取れるようにLINEでのやり取りを始めました。今では、社長の私に直接LINEでメッセージが来るようになりました。やはり、社員とのコミュニケーションを密にした方が今後の事業展開も含めて素早い対応もでき、業務ははかどりますね。


(インタビュー日時: 2020年6月16日)

会社概要

ファミリーレンタリース株式会社
代表取締役: 鈴木 國夫
本社所在地: 東京都八王子市八日町5-9
業種: ランドリー事業

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