多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

ヤクルト中央研究所に迫る

インタビュー全文

2019年10月30日

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お話を伺った方:株式会社ヤクルト本社 中央研究所 上席参与 宮﨑氏、事務部部長 関井氏
取材日:2019年9月20日

ヤクルト中央研究所の特長について教えてください。

関井氏 当研究所は、当社でも国内で一箇所しかない研究所で、様々な分野の研究ができることが強みとなっています。ヤクルトの創始者である医学博士・代田稔の考えである「予防医学」によって、人々の健康に役に立ちたいという見地から、基礎から応用まで幅広く研究を行っています。

宮﨑氏 様々な分野の専門家が集まって、新しいものを生み出すような基盤を作ろうという発想で研究所が作られています。例えば、商品開発の際に、医薬品分野では上手くいかなかったので、食品や化粧品の分野で応用できないかといったように、分野の垣根を越えて研究を発展させていける強みがあります。

ヤクルト中央研究所のエントランス。代田稔博士の胸像が佇んでいる。

ヤクルト中央研究所が掲げているテーマの一つに「見せる研究所」というものがあります。研究所というと閉鎖的なイメージがありますが、なぜ「見せる研究所」を目指しているのでしょうか。

関井氏 当研究所では、代田博士のこれまでの研究活動などに触れることができる「代田記念館」を併設しています。この背景として、一人でも多くの方に企業姿勢や研究活動を知っていただき、ヤクルトを身近に感じていただきたいという願いがあります。そのような想いから、通常は一般の方が立ち入ることのない研究所内部に記念館を作って公開しています。2016年9月にオープンし、2019年7月には累計見学者数が1万人を突破するなど、多くの方にお越しいただいています。

宮﨑氏 研究所というと難しいことをやっているというイメージがありますが、あえて公開することによって研究に親しみを持ってもらいたいと思っています。これまでの研究所のイメージを変えていきたいという想いがあります。

新しい研究棟についてはどのような印象をお持ちですか。

宮﨑氏 嬉しさ半分、プレッシャー半分という気持ちでした。これだけ素晴らしい施設、設備、環境を整えてもらったので、それに応えて貢献していかなければというプレッシャーがあります。研究員一人当たりのスペースも十分に広く、ソフト面でもハード面でも当時の一番良いものを導入しています。環境や組織体制も含めて最良の環境を与えてもらっています。
 当社の原点は、代田博士の乳酸菌の研究からスタートして、「ヤクルト」を作り出したことにあります。新しい研究所は、その原点である研究を重視する姿勢が体現されている研究所だと思います。そして、それを超える新しいものを、何年後何十年後になるかはわかりませんけれども、生み出すことへの期待が込められていると思っています。

研究員の採用について教えてください。

関井氏 大半の社員が新卒採用され、定年まで勤める人も多いです。毎年全国から多くの応募がありますが、特に近年は理系の女子学生から多くの応募をいただいています。
 また、多摩地域との関わりについては、当研究所に勤務する約300名の社員のうち、約7割が多摩地域に居住しています。多摩地域の出身の人が多いというよりも、むしろ就職してから居住する人が多いと思います。

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