多摩けいざい

お客さま景気動向インタビュー

株式会社 ノア コーポレーション

代表取締役 牧野登氏

2019年11月19日

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 半導体洗浄装置のOEM製造や、電子回路やコイルのテスターの製造、さらには自動玉子焼成機の製造など、幅広い製品を手がけている同社。現在16社の大手一部上場企業に製品を直接納入しており、顧客からの信頼も厚い。最近は、アジアを中心とした海外からの引き合いも増えており、新たな販路拡大が進んでいる。

代表取締役 牧野 登氏

貴社の概要について教えてください。


 私はもともと会社勤めをしており、半導体製造装置関連の部署で働いていました。しかし、会社の業況が悪く、その部署が解散になってしまいました。当時の顧客だった八王子の半導体洗浄装置を作っている企業に私の部署が解散する旨を話すと、「それは困る、仕事を継続して引き受けてもらえないか」という話になりました。そこで、会社から独立して立ち上げたのが当社の成り立ちです。

 独立当初は、その八王子の企業内に間借りし、専属で仕事を請け負っていたのですが、どうしても半導体業界は景気に左右されやすく、経営が安定しませんでした。このままだとまずいということで、別の場所に自社の拠点を構えて、事業の幅を広げていくことにしました。始めは苦労がありましたが、次第に様々なところから声をかけていただけるようになり、また、縁があって入社した従業員が持ってきた仕事を次々に付け加えることによって、事業の幅を広げてきました。

 現在では、大手一部上場企業16社に製品を直接納入するようになり、数多くのお客さまに当社の製品をご利用いただいています。

同社で製造している半導体洗浄装置

 現在、当社の売上構成比は、半導体製造装置関連事業が半分ほどを占めます。もう一つの大きな柱がインサーキットテスターのOEM製造であり、こちらは当社の安定した収益基盤となっています。その他にコイルテスターなども取り扱っており、モーターの製造企業や自動車メーカーなどに販売しています。

 また、最近伸びているのが数年前から製造を始めた自動玉子焼成機です。製造のきっかけは、元々この機械を作っていた会社が廃業することになり、その際に当社が事業を譲り受けたことです。実は、この玉子焼成機の国内シェアは90%以上と非常に高く、ほとんどの工場で当社の製品が使われています。機械自体の歴史は40年ほどと長く、当社で機械のメンテナンスや部品の交換などのアフターサービスも行っています。

 その他、ロボット事業も4年ほど前から展開しており、これまで人間にしかできなかったような細かな作業をロボットにさせるためのシステム構築を行っています。現在は人手不足の企業が多いため、引合いが増えてきており、市場が拡大していると感じます。

業界の動向についてはいかがでしょうか。


 まず、半導体関連事業については、当社では製品の輸出を行っていないため、直接的な海外の影響はないものの、当社のメインの納入先の一つが日中貿易摩擦の影響を強く受けており、そのため当社の売上も減少しています。

 その一方で、玉子焼成機については、韓国、中国、インドネシアなど、海外から問い合わせが増えています。その背景として、海外で錦糸玉子や薄焼き玉子といった調理方法を普及させようとする動きがあります。例えば、韓国では玉子と言えばうずらが一般的で、調理する際は玉子を茹でて袋詰めすることが多く、これまで薄焼き玉子のような調理法はあまり普及していなかったようです。しかし、今後普及させていこうということで、現地の企業が当社のホームページを見て問い合わせてくるケースが見られます。

 海外でも日本と同様人手不足となっています。そのような中で、工場における作業自動化へのニーズは大きくなっているように感じています。今は海外に目を向けないともったいないと思います。英語や多言語でのPRを積極的に行っていく必要があります。メイドインジャパンは海外でも信用されているので、今後更に販路を広げていきたいと思っています。

 悪化している日韓関係については、現在のところ問題はないですが、今後輸出の際の窓口がどうなっていくか、不安を感じます。

国内シェア9割超を誇る同社の自動玉子焼成機

人材の動向はいかがでしょうか。


 人手は不足しています。特に技術系の人材が不足しています。自社でも募集をかけていますが、取り急ぎ派遣会社から技術訓練を受けた海外人材を紹介してもらう予定です。

 当社としては、できるだけ少ない人数で付加価値が高い仕事をやっていきたいという想いがあります。ただ、現在事業領域が広がってきているので、専門性を持った人材をその分多く抱えなければならないことは負担となっています。

材料の仕入れについてはいかがですか。


 材料価格は上がっています。10月に消費税が上がると、便乗してさらに値上げしてくるでしょう。OEM製造だと増税分の価格への転嫁は難しいと思います。ロットが多い製品だと様々なところで調整して工夫ができる余地があるのですが。納期については、これまで機械部品などは1年待ちのものもありましたが、現在では比較的縮まってきたように感じます。

今後の事業の方針について教えてください。


 当社としては既に事業の柱が複数あるので、それぞれの柱を活かしていきたいと思っています。今後はそれぞれを事業部制のような形で独立させていくのが理想です。また、近々事業承継も検討しており、先を見据えた経営を行っていきたいと思います。

どうもありがとうございました。


(インタビュー日時:2019年9月25日)

会社概要

株式会社 ノア コーポレーション
代表取締役: 牧野 登
本社所在地: 東京都八王子市中野上町4-31-9
業種: 半導体製造装置製造業

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