多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩モノレール20年の歩み

多摩都市モノレールインタビュー

2019年7月25日

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辻さん(右)と後藤さん(左)

お話を伺った方:多摩都市モノレール株式会社 総務部経営企画担当課長 辻さん、総務課総務係主査 後藤さん
取材日:2019年6月17日

多摩モノレールでは、年々乗車人員が伸びています。この要因をどのように捉えていますか。

 開業当初は、8万人だった乗車人員が、今や14万人を越えるようになりました。当社の設立経緯である多摩地域の南北の移動の改善に資することができ、喜ばしく感じています。

 増加の要因としては色々と考えられますが、一番大きいのは沿線の開発だと思います。立川北駅近くのIKEAや、立飛駅前のららぽーとなど、沿線で大型の開発が進んだことに伴って、多摩モノレールを利用していただくお客様も増えました。また、沿線の人口増加も要因のひとつです。特に、定期券利用者数が堅調に増加していますが、これは沿線人口の増加に起因していると捉えています。

 その他、当社の経営努力もあると思います。例えば、多摩動物公園などの沿線スポットの入場券と、モノレール乗車券を併せたセット券は、販売が好調です。こういった施策の積み重ねがお客様からのご評価をいただき、結果的に乗車人員の増加に繋がっているものと考えています。

 現在開発中の立川北駅近くの「GREEN SPRINGS」についても、さらなる利用者の増加に繋がるものと捉えています。ホールやホテルが新たにできることで、より一層多くの人が周辺に集まるようになると思います。地域の人口減少の影響を緩和する一つの契機となるのではないでしょうか。

公表されている「経営改革プラン改訂版(2019年度)」では、将来を見据えて抜本的な人事制度や組織改革に取り組むことが挙げられています。このような取組みを実施するに至る問題意識や、今後目指していく組織ビジョン等についてお教えください。

 開業当初、当社の社員は他の民営鉄道や東京都からの出向社員が中心でした。217名の社員のうち、プロパー社員は53名のみでした。その後、少しずつプロパー社員が増加し、現在では228名の社員のうち、プロパー社員(契約社員含む)は172名まで増加しています。このように、開業時と現在とで人材の構成が大きく変化したことによって、増加したプロパー社員のやる気を伸ばしていけるような人事制度を作っていく必要性が出てきました。

 しかし、2008年に経営改善計画を定めるまでは、債務超過に陥った経営を改善することが最優先事項だったので、そのような人事制度を作ることになかなか着手できなかったという背景があります。その後の10年で経営は安定し、地域への浸透も図れてきた中、2018年に中期経営計画を策定したことを契機として、人事制度改革に本格的に着手することとしました。

 また、本年7月には組織体制を変更します。課や係を無くし、部の中で社員一人ひとりがフレキシブルに業務を行う柔軟な組織とします。社員が特定の仕事しかしていないと会社全体を見ることが少なくなってしまい、責任感も薄くなりがちになります。もちろん、ひとつの部分に集中することも大事だと思いますが、全体的なスキルアップを通じて社員の主体性を伸ばしていきたいと考えています。

現在予定されている具体的な主要設備の更新計画について教えてください。

 設備投資については、経営が厳しかったためになかなか新規のものへの投資が難しいところがありました。しかし、経営が安定した結果、今までメンテナンスで対応してきたものを少しずつ更新できるようになってきています。例えば、大きなところでは駅舎の改修が挙げられます。立川南駅は2018年にリニューアルを行いました。また、近々多摩センター駅もリニューアルを予定しています。また、お客様の目には見えづらいところですが、一昨年度は電力管理システム※1を、昨年度は運行管理システム※2を改修しました。さらに、今後車両の窓ガラスのUVカット対応や、空調設備の増設、電球のLED化なども順次行っていきます。

開業当初の総合指令室。ここで列車の運行を管理している。(出所)「多摩都市モノレール」、1999年

※1 安定した電気を安全に効率よく供給・管理するシステム
※2 列車の運行を制御・管理するシステム

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