多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩地域における民泊の動向

民泊事業者インタビューNo.02

2018年10月10日

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部屋を利用されるゲストの方はどのような方が多いのでしょうか。

 色々な国の方が来ますが、基本的には一人で泊まる方が多い印象です。部屋の上限人数は2人までとしていますが、要望があれば人数のアレンジは柔軟に対応しています。

 始めた頃は一人あたり一泊2,500円でやっていたのですが、最近では問い合わせ件数も増えてきた結果、ある程度こちらで価格をコントロールできるようになってきて、少しずつ値上げしています。そのせいか、日本人のゲストは以前よりも減りました。日本人の方は、ビジネスや大学のセミナーのために宿泊されるゲストが多いです。中には新婚旅行というカップルもいました。

民泊のやりがいや、楽しさについて教えてください。

 民泊を通じて色々なゲストと会えるので、刺激にもなるし、勉強にもなります。それぞれ文化の違う外国の方とのコミュニケーションには頭を使うし、そこで生まれた新たな課題は次のゲストを迎えるモチベーションにもなります。

 それから、ゲスト自身のこと、体験してきたことなど、世界中の面白い話や経験談が、同じ場所にいて聞けるというのは、すごく楽しい。あるとき、日本の様々な土地を歩いて回ってきたサンフランシスコからのゲストの方がいらっしゃって。その方は米大手IT企業のエンジニアの方だったのですが、「日本のどんなところが印象的?」と聞いたら「日本の犬はやたら人に吠えずに礼儀正しいこと」と答えたんです。「アメリカだと犬は番犬だから、人を見るとすぐ吠えて、噛み付かれたこともある」と。その話がとても面白くて。 これはあくまで一例ですが、海外に行かなくても色々な国の話が聞けるのは、楽しいと思います。だから、自分が楽しく続けていくという意味でも、ある程度ゲストの方を選ばせていただくのは重要だと思います。

反対に、大変なことは何でしょうか?

 これは、先ほどと裏表の関係なのですが、ゲストを選ばせていただくことは心苦しいですし、大変です。

 あとは、ご近所との付き合いにも気を使います。ご近所との信頼関係がないと、問題が起こっていないにもかかわらず問題だといわれてしまう可能性があると思います。ネガティブなニュースなどの先入観から、「民泊=違法」というイメージはあると思うので。ただ、私たちの場合、「家主居住型」の民泊なので、ゲストがゴミで近隣住民に迷惑をかけることもないですし、万一、ゲストが夜中に騒ぐようなことがあれば、注意もできますし、出て行ってもらうということもできます。

 幸いなことに私たちの周りには応援してくれる方が多くいます。地域の活動をやっていたので、その信頼関係はできていると思いますが、中には民泊について心配する方もいないわけではありません。

今後の展開について教えてください。

 色んな人が民泊を始めやすいように、ある程度システム的にサービスを提供できるようにすることを考えています。例えば、ゴミの分別方法ひとつをとっても、国ごとに文化や習慣が違います。そのあたりをシステム化して、お互いに負担が少ない方法で伝達する方法を考えていく必要があると思っています。

 また、地域の農家さんから、これまで大学生向けに貸していたアパートが空いているので何かできないかという相談を受けているのですが、例えば空き部屋で民泊をやって、それに畑での農業体験をくっつけるとか、そういったことをやりたいと考えています。このあたり一体を自然の中で暮らしたり体験したりできるエンターテイメント空間にしたいです。

 いずれは、多くの地域の方に民泊に関わってもらい、日野市をいくつになっても活き活きとしていられるようなモデル地域にしたい。例えば、部屋を提供してもらったり、掃除に入ってもらったり、食事を作ってもらったり、車の送迎をやってもらったり。皆さん色んなリソースやできること、得意なことをお持ちだと思うので、それを無理なくシェアできるような仕掛けを考えています。日野市の空き家を活用した「浅川リバーハウス※3」とも、今後さらにリンクさせていきたいと考えています。

 やりたいことは沢山あるのですが、それほど焦ってやろうとも思っていません。地域には応援してくれる人が多いですが、心配する人もいるので、そこは少しずつ事業を手伝ってもらったりしながら、ゆっくり認識していってもらうことが良いのかなと思っています。

どうもありがとうございました。


(インタビュアー:中西 英一郎)


※3 浅川リバーハウス 「株式会社あれいすと」が、地域の活力向上のためにプロデュースしている住宅。もともと空き家だったが、日野市の空き家条例に基づき、所有者と活用したい事業者との間でマッチングが行われた。「あれいすと」の事務所兼地域の多様な方が集える場所として活用が図られているほか、週に一回地場産野菜のマーケットなども開催されている。

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