多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

「東京たま未来メッセ」始動

2022年10月25日

ページ 1/2

 2022年10月14日、八王子の中心部に「東京たま未来メッセ」がオープンした。大型イベントも開催可能な展示室を備えたコンベンション施設として、国内外から多くの人が集い、地域に賑わいをもたらすことが期待されている。新たな出会いや交流を促し、多摩地域におけるイノベーションの発信拠点となる東京たま未来メッセ、その全貌に迫る。

多様な用途に応える、これまでにない新施設


 多摩地域最大規模のコンベンション施設として、東京都における産業の振興を図ることを目的に誕生した東京たま未来メッセ。東京都が策定した「『未来の東京』戦略」の1拠点として位置付けられた同施設には、メインとなる開放感あふれる展示室を中心に、会議室や産業サロン、交流サロンなどのスペースが整備されている。京王八王子駅、JR八王子駅から徒歩数分という立地も特徴的であり、今後、展示会や会議、学会、イベントなど様々な催しが開催される予定である。また、都心からはもちろん神奈川や山梨、埼玉など首都圏の各県からのアクセスも想定しており、広域的な利用や連携も視野に入れている。加えて同施設が入る建物の4階から7階には八王子市の合同庁舎もあり、企業、団体だけでなく、一般市民も足を運ぶ施設となりそうだ。

 同施設の中心となる展示室はスライディングウォールで4分割まで分割することが可能で、最大で約2,400㎡という広さを持ち、最大収容人数は2,000人。天井高10mで床の耐荷重は4t/㎡と、乗用車のみならず工事用車両やバスのほか、工作機械などの展示にも適した広々とした空間となっている。用途によってカスタマイズできる使い勝手の良い展示室の登場により、今までは都心でしかできなかった大規模なイベントの開催が、ここ多摩地域でも実現することとなる。

 大小7つある会議室はガラス張りで明るく、大人数のセミナーから少人数の商談まで、用途に応じた使い方ができる。会議室のフロアからは展示室を見下ろすことができ、展示室の催しと連動することでより幅広く活用するなど、様々な使い方が期待されている。

 産業サロンと名付けられたスペースでは、多摩地域の企業やそれぞれの企業が持つ技術に関する情報発信を行う予定である。同時に、八王子市を中心に周辺地域に大学が集積しているメリットを活かすために、大学が持つ技術や研究についても発信していきたい考えだ。

 館内は壁やベンチなどに、多摩産材を多数使用している。また、冷暖房装置には地域熱供給※1を採用し二酸化炭素の排出量の削減に取り組んでいるほか、建物の外にある石の壁には、雨水を貯めてろ過しトイレの水として再利用するシステムを取り入れるなど、環境に配慮した建物となっている。

展示室の様子。天井のデザインは多摩織をイメージしている

※1 冷水や温水を1か所でまとめて製造し導管を通じて装置がある建物に供給するシステム