多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩地域における民泊の動向

民泊事業者インタビューNo.05

2018年11月16日

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お話を伺った方:斎藤正之さん(国分寺市在住)
取材日:2018年10月5日

お話を伺った斎藤正之さん

民泊を始めたきっかけについて教えてください。

 私の母が亡くなった際に相続でアパートを継いだのですが、このアパートは築20年以上が過ぎており、1年ほど入居者が決まらない状態が続いていたんです。このアパートを民泊用に貸し出したらどうかと娘の友人に薦められたのが、民泊を始めるきっかけになります。

 アパートは、ワンルームであることに加えて大学が近くにあるため、かつては学生が主に入居していました。しかし、他に新しいワンルームマンションができたり、そもそもの学生の数が減ったりしたことで、年々入居者が減ってしまっていました。そこで、部屋を空けておいてももったいないので、民泊をやってみようということになりました。

 アパートの内装などはかなり古くなっていたので、民泊を始めるにあたってほとんど自分で改装して洋風の内装にしました。テレビや冷蔵庫、電子レンジ、布団といった部屋の備品は、全部中古のものを購入して設置しています。6部屋中5部屋を民泊用に改装したのですが、全て併せて30~40万円くらいはかかっています。

 民泊仲介サイトへの掲載や、民泊を始めるにあたっての様々な準備は、私の娘がやってくれました。娘のサポートがなければ、民泊を始めることはできなかったと思います。現在も事業については娘のサポートを受けています。

民泊をしているアパートの外観

実際に民泊を始めてみて、いかがでしたか。

 いざ民泊を始めてみると、沢山の方が泊まりに来たので驚きました。最初はお客さんが入らないだろうと高を括っていたのですが、意外にも人気が出てしまい、これはすごいなと思いました。一回泊った方が母国に帰って口コミで広げるみたいで、一人が泊るとその後に同じ国の方がどんどん来ます。

 稼働率については高いです。5部屋中3部屋は、既に今年分の180日の予約が埋まっている状態で、残りの部屋は半分くらい予約が埋まっています。これでも、できるだけゲストがチェックアウトした直後は、次のゲストが入らないように調整しています。

 私の場合、ゲストとの交流は基本的にありません。会えば少し話をするくらいです。英語は、簡単な会話くらいだったらできるのですが、基本的にゲストとのやり取りは通訳の会社を利用しています。予約時や何かあったときなどのゲスト対応は、その通訳会社が代行してくれるんです。例えば、隣の人がうるさかったりしたときは、ゲストから通訳会社に電話をかけてもらうと、その通訳会社の人が隣の部屋のゲストに電話をかけてくれるといった具合です。通訳会社の利用にかかる費用は売上の2割と決して安くはないですが、通訳会社を使うことによってお客さんが増加したことも確かです。

 うちの場合は、賃貸で貸したときの1か月の家賃の10分の1と、民泊での1泊の料金が同じです。ですから、収益的には賃貸で満室のときとほとんど同じくらいの収益になります。これまで入居者がゼロだったことを考えると大きな差があります。

管理会社は利用していますか。

 管理会社に頼むと高い料金を取られるので、管理は自分で行っています。私の中では、「民泊」といったら、清掃の仕事と同じです。トイレやキッチン、部屋の掃除、シーツの洗濯など、1部屋仕上げるのに2~3時間はかかります。これが非常に労力のかかる作業です。チェックアウトのタイミングが重なってしまうと大変なので、重ならないように調整しています。

民泊用の部屋の様子

ゲストはどのような方が多いのでしょうか。

 うちの場合、95%が外国人です。日本人はめったに来ません。最近は特に欧米のゲストが増えています。利用する目的としては、観光が多いですね。長く滞在する方は、どちらかというと仕事での利用が多いと思います。多くの方は1週間くらいの利用ですが、中には1か月以上滞在するゲストもいます。これまでにうちのアパートを利用されたゲストの中で、共通して多かったこととしては、靴を脱がず土足で部屋に入ってくる方が多いことです。床に靴の跡が残ってしまい、毎回掃除が非常に大変です。あとは、「飲める水はどれですか」と聞かれることも多いですね。

 ゲストが騒いで迷惑をかけたというのは一度もありません。近隣からの苦情とか何か言われるといったこともないです。

今後のことについて教えてください。

 今のところオリンピックまでは民泊をやってみて、その先のことについては、それからまた考えようと思っています。民泊だけで生活ができるくらいには収益が上がるようにしたいですね。

どうもありがとうございました。


(インタビュアー:中西 英一郎)

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