多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩地域における民泊の動向

民泊事業者インタビューNo.04

2018年11月2日

ページ 1/2

お話を伺った方:釜石裕光さん(小金井市在住)
取材日:2018年10月1日

お話を伺った釜石裕光さん

民泊を始めたきっかけについて教えてください。

 私は、家内を12年前に亡くしており、子どもは独立して別のところに住んでいます。家内が亡くなってから、しばらくは隣の家に住む母と二人暮らしだったのですが、その後母も亡くなったため、隣の家が空いたんです。ずっとそのままにしておいても仕方がないので貸し出すことにしたのですが、入居者は日本人よりも外国人の方が面白そうだと思い、 不動産屋に外国人の募集をかけてもらいました。その時に入居したのが、現在も隣の家に住んでいる外国人の女性であり、この方が私が民泊を始める直接的なきっかけとなりました。

 彼女が隣の家に入居したあと、ときどき子どもや孫たちと一緒にバーベキューをしたりしていたのですが、ある時、テキサスから彼女の友人が日本に来るので、その人を私の家の2階に泊めてもらえないかという話になりました。ちょうど同じ頃に私の別の知人から、民泊をやったらどうかと勧めを受けていたこともあって、彼女の友人を民泊として泊めることにしました。

 彼女の友人が日本に来るまで、4か月くらいの時間がありました。そこで、自宅の二階の部屋を民泊専用にリフォームすることにしました。私は、勤務先がゼネコンだったので、それを活かして自分で一からスケッチを描いて、部屋のリフォームを行いました。そのほかにも、ベッドや家具、テレビを購入したり、インテリアにこだわったりした結果、相当な費用をかけて民泊の準備をしています。

ゲスト用ベッドルームの様子

 彼女の友人が泊まったことを皮切りに、民泊サイトを通じて様々な方が我が家を利用するようになりました。2番目に利用したのは、フランス人の男性でした。彼は、日本が好きで日本語を一生懸命勉強している方でした。こちらが英語で話しかけても、日本語でしか答えなかったのを覚えています。彼は日本に来るのが初めてで、そのときは40日間日本に滞在するということでした。我が家には4泊していき、その後関西、四国、北陸などを回っていたそうですが、しばらく経ってから途中でまたうちに寄りたいと連絡があり、追加で4泊していきました。彼の場合、日本で働きたいということで、その後もう2回ほど、うちに来ています。

ゲストはどういった方が多いのでしょうか。

 居住地域については、東南アジアとか、比較的アジア系の方が多いです。最近は中華系が多くなっています。ゲストの半分以上はアジア系だと思います。もちろん日本人もいます。

 目的としては観光が多いですが、仕事で利用する方もいます。その他に学校の試験を受けるために、海外から親子で泊まりに来る方もいます。

 民泊の仲介サイト上で、ゲストとホストがお互いに相手のレビューを書くのですが、そのレビューを見て来る方は多いです。私のレビューと、サイトに載っている写真とを見て、「この家は何となく日本風の感じかな」とイメージして泊まりに来るのだと思います。全体的に、日本に来るのが初めての方が多いですね。また、一度利用した人の口コミでその友人が泊まりに来るといったこともあります。

 ゲストが求めているのは、日本の日常生活を体験することだと感じています。外国人は、日本人が毎日寿司を食べていると思っていますが、もちろん決してそんなことはありません。民泊を通じて、日本人の普通の生活はこういうことかと伝えることが、ゲストに対する価値になっていると思います。

ゲストはどのような観光地を訪れているのでしょうか。

 この周辺には、あまり観光するところはありませんので、行くとしたら、例えば小金井公園とか、昭和記念公園とか。ジブリ美術館もありますね。若い人は池袋・秋葉原などに行って、アニメのグッズを購入したり、写真を撮ってくる人も多いです。

 観光については、私自身が案内することもあります。あるゲストは富士山を見たいと言うので、車で富士山まで案内したこともあります。変り種としては、ウルトラマンが好きな子ども連れのゲストが泊ったとき、偶然近所でやっていたウルトラマンショーに連れて行ってあげたら、大喜びしてくれたということもありました。

これまでのゲストとの思い出を話してくれる釜石さん

『多摩けいざい』トップへ戻る