多摩けいざい

特集 多摩のうごきを知る

多摩地域における民泊の動向

民泊事業者インタビューNo.01

2018年10月5日

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民泊の楽しみがあれば教えてください。

 この歳になって、色々な国の人と様々な形で接することができるというのはとても楽しいと感じます。民泊をやっていなければ出会う機会がない人と出会える。とても貴重な経験です。たとえば、F1レーサーのスペイン人だったり、ラスベガスに住む日本人夫婦だったり。中には、今でも交流が続いているゲストの方もいます。

 外国の方に日本での日常の生活を体験してもらうのも嬉しいですね。八王子北口の駅近に、美味しいとんかつ屋があるのですが、私はそこで出すエビフライが日本一だと思っています。あるとき、その店をカナダ人のゲストに紹介したらすごく喜んでくれて、私も嬉しかった覚えがあります。あとは、レビューのコメントも楽しみの一つです。

反対に、民泊で気を使うところは?

 家主不在型だと、自分で家の状況をチェックできない分、ゴミ出しや騒音は特に気を使います。ゴミ出しで一度でも失敗したら、その後民泊ができなくなってしまうと思ってやっています。

 清掃についても、基本的には管理会社経由で頼んでいますが、どちらも大変協力的で感謝しています。それでも時々は自分たちで細かいところを見るなど、それなりに気を使っています。

今後の展開について教えてください。

 法律では、民泊は年間180日が最大稼動日数となっているので、家が空く時間も結構あります。今後は、宿泊を伴わない方にも、日本の文化を体験してもらえるようなことをやっていきたいと考えています。現在は開放していないのですが、実は八王子の家には茶室があるんです。私の妻が茶道や生け花、着付けなどの資格をもっているので、外国の方にそういった日本文化を体験してもらうことも考えています。

 その他に、民泊の管理会社から委託を受けて、民泊の申請代行やアドバイザーとしての仕事も行っています。今は、民泊を始めたいという需要に対して人が足りてないという状況です。民泊の申請は、消防署、保健所、建築課、水道局など複数の行政窓口とのやりとりや書類の提出が必要であり、とても煩雑です。これから民泊を始められる方に対して、 そのあたりのお手伝いができればと思っています。

民泊新法や各自治体の条例への対応はいかがですか?

 現在の条例だと、規制が厳しすぎると思っています。民泊の申請代行を請け負ってわかったことですが、特に23区は厳しい。例えば中野区では、民泊事業を始める際に近隣住民に対する説明会の開催義務まで設けています。一戸建てならまだしも、管理組合のあるマンションでの民泊は、反対者が多くほぼ無理でしょう。また、民泊新法が施行されてから日が浅いせいか、同じ役所でも対応する方によって微妙に言うことが違うなど、まだ正しいルールが均等に行き渡っていない印象もあります。

 八王子市の場合は、条例を制定していますが、そこまで厳しくはありません。民泊を始めるに当たって、周辺の住宅に案内のポスティングも行いましたが、全部で10件くらいです。

最後に、一言お願いします。

 民泊は、報道などで負の側面が盛んに取り上げられているなど悪いイメージが定着していますが、私は民泊を通じて地域に貢献するという精神で取り組んでいます。不動産価格も下がっていく中で、空き家を有効活用して地域の滞在人口を増やし、活性化や国際化に貢献できればと思っています。

 もちろん、収益面での貢献もあります。空き家になっていれば、何も生み出さない一方で、時間とともに家は傷みますし税金もかかります。その点、民泊をしていれば一定の収益が上がるため、「一石二鳥」という感覚です。

 これから、ますます空き家が増えてくる中で、地域の活性化のために、たましんさんのような地域に根ざして活動している企業が中心となって民泊を推進していってもらえたら良いと思います。

どうもありがとうございました。


(インタビュアー:中西 英一郎)

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